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2020年07月28日放送

トイレ

トイレ紙買い占め なぜ令和も

読売新聞 7月28日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「トイレ」に関連した内容です。NEW門今月11日掲載の『トイレットペーパー買い占め、なぜそこまで必要とされるのか』についてピックアップしてお伝えしていきます。

はーい。そういえば今年の春ごろ、トイレットペーパーの買い占めというのが問題になりましたよねー。

そうですねー。新型コロナウイルスの感染拡大に揺れた今年の春、世界各地でトイレットペーパーの買い占め騒動が起きました。

はい。

「ウォシュレット」に代表される温水洗浄便座の世帯普及率が8割と、世界で突出して高い日本も、この買い占め騒動の例外ではありませんでした。

はーい。

なんでトイレットペーパーはそこまで必要とされるのか。
その背景などに今回は迫ってみたいと思います。

はーい。確かにあの買い占めっていうの、大変でしたよねー。

そうですねー。例えば、東京都内に住む40代の男性は、今年3月、スーパーとか薬局を20店ほど回って、やっとトイレットペーパー2パックを購入できたそうで、

はい。

「品薄になる」というツイッター上の投稿はデマだとわかっていても、店の長い行列を見て静観できなかったそうなんです。

買い占めは、「デマ」がきっかけだったようですよね。

そのようですね。ちなみにトイレットペーパーの買い占めは、1970年代の石油危機とか2011年の東日本大震災の際にも起きていて、

はい。

ともにデマが原因とみられているんです。経済の混乱とか災害時の不安心理が影響したとされています。

はーい。まあ、あのような騒動になると予想はできなかったんでしょうかね。

うーん。実は当初、製紙業界では、新型コロナがトイレットペーパーの逆風になる。つまりは売れ行きが鈍るんじゃないかと懸念されていまして、特種東海製紙の関根常夫取締役は「訪日客が減り、国内需要の3割を占めるホテルや百貨店などの業務用が落ち込む」とみていたそうなんです。

なるほどー。

ところが、これ、現実には逆となって、業界団体には苦情の電話が殺到して、「在庫は十分」「在庫は十分ある」という内容の文書を2度も出して、冷静な対応を呼びかけることになりました。

見通しとは逆になってしまったわけですね。

そうなんですよ。

これ、海外でも大変な状況だったんですか?

はい。例えば、オーストラリアでは店頭の客同士の乱闘が起きました。また、アメリカでは入手できない人による911通報(=日本の110番)が相次いで、警察が電話をかけないように促すほどだったそうです。

はーい。

特にアメリカとかヨーロッパは、温水洗浄便座の普及率がわずか数%ということで、多くの人が「トイレットペーパーがないと用を足せない」と必死になるのも無理はないかもしれません。

乱闘や通報など、ちょっと穏やかではないですよねー。

そうなんですね。一方でそんな状況を逆手に取って、アメリカの大手トイレメーカーは「温水洗浄便座を使えば、平均的な家庭でトイレットペーパーが年間250ロール節約できる」とうたうキャンペーンを北米で行ったところ、

はーい!

その効果てきめんで関係者は「温水洗浄便座の売れ行きは倍増し、品薄になった」と話しています。

色んな影響があるんですね。

そうなんです。でもここでですよ。ひとつ不思議に思うことがありませんか?

はい!

海外では「温水洗浄便座があれば事足りる」と考える人が多いのに対して、日本だと「温水洗浄便座もトイレットペーパーもどっちも必要」という人が多いようなんです。こうも海外と違うのはどうしてなんでしょうか?

確かにそう言われると気になりますね。

気になりますね。これ実は温水洗浄便座が本格的に普及し始めた1980年代、日本の製紙業界では「将来、トイレットペーパーは必要なくなる」という危機感が広がったそうなんです。

へー。

ところがその後の約40年間、日本ではトイレットペーパーの需要は温水洗浄便座の普及と同じようにほぼ増え続けています。

はい。

ちなみに日本人が1日にトイレに行く回数というのは、個人差あると思いますけど、5回から7回程度だそうで、1人当たりのトイレットペーパーの年間使用量は平均59ロールに上るそうです。

けっこう使っていますねー。

けっこう使っているんですね。この量というのは、温水洗浄便座が大都市以外ほとんど普及していない中国やブラジルの、2倍前後になっているんです。

はーい。

これは多くの人が便座の洗浄機能を使うと同時に、トイレットペーパーも使っているためとみられていて、トイレ関連の本を3冊書いた研究者の山路茂則さんは、「日本人は世界的に見ても潔癖といえるほどのきれい好きで、そうした意識が表れている」と分析しています。

はい。

あの、温水洗浄便座って感想機能が付いているものもありますけれども

はい。

日本では、今後もトイレットペーパーと温水洗浄便座の共存共栄が続く可能性が高いと見られているんです。

こういったところにも国や文化の違いが大きく影響してくるんですね。

ねー。一方でですよ、日本人はきれい好きなんていう話もありましたけれど、行き過ぎともいえる清潔好きが逆に温水洗浄便座を遠ざけている面もあるんです。

そうなんですね?

はい。トイレの業界団体「日本レストルーム工業会」の調査では、自宅に温水洗浄便座があっても、23%の人は全く使用しないそうです。

えー?

女性や若者ほど、その割合が高いと見られているんです。

そうなんですね?きれい好きなのにこの温水洗浄便座を使わないというのは、なぜなんですかね?

気になりますよね?これは、同じ家族が利用したとしても、温水が出るノズル部分を不潔に感じてしまうことが一因とされているんです。

あー!

便座は1台数万円するだけに、宝の持ち腐れとも言えそうですね。

はい。

世界的にはトイレを不浄と考えて遠ざけようとする文化が根強いのに対して、日本では「神様がいる場所」として大ヒット曲に歌われたりとか、きれいに保つことが美徳ともされていますけれど、トイレそのもののあり方にも日本特有の清潔意識が垣間見えそうです。

今はこの新型コロナの影響で海外に行けない状況になっていますけれども

はい。

海外旅行に行くと、この「トイレ」っていうところで、いろいろ文化とか生活スタイルの違いがよく見えてくるなというのはありますよね。実感しますよね。

確かに、そうですよね。

なのでそれぞれの国の文化が現れる場所なのかもしれないなと感じましたね。

そういう見方をしてみるとね、また興味深くみられるかもしれません。