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2020年09月15日放送

スパコン

「2位でも…」の富岳 世界一

読売新聞 8月12日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今回のテーマは「スパコン」です。NEW門先月12日掲載の『「2位でも…」の富岳 世界一』についてピックアップしてお伝えしていきます。

はい。「スパコン」ってスーパーコンピューターの略ですよね?

そうです。理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、計算速度の世界ランキングで1位になりましたけれども

はい。

日本のスーパーコンピュータースパコンでは、先代の「京(けい)」以来、8年半ぶりの首位となっています。

はい。

首位奪還のきっかけは、11年前に注目されたあのセリフでした。

うーん、セリフ。あの、流行語にもノミネートされましたよね?

うーん。

事業仕分けのときの言葉でしたね。

そうです。2009年、当時の民主党政権で事業仕分けを担当した蓮舫参院議員が「2位じゃだめなんですか?」と追及したあのセリフです。

はい。

これは当時、世界一の計算速度を狙って開発しようとしていたスパコンの「京」について、蓮舫さんらの仕分け人側は、1000億円を超える国家予算を投入してスパコンを開発する意味を尋ねたもので、仮に計算速度が世界一になったとして、国民は何を得られるのか。その費用対効果を知りたがっていました。

はい。

ところが、理化学研究所、理研側はその答えを用意していなくてですね、「国民に夢を与える」などと具体性に欠ける説明に終始したものです。

はい。

理研の松岡聡・計算科学研究センター長は「車に例えれば、スピードだけを重視して、速いレーシングカーを作ることしか考えていなかった」と振り返っています。

とにかく世界一を狙っていたということですよねー。

はい。結果、スパコンの京は予算を減額して、かろうじて開発の継続が認められて、2011年に計算速度が世界一となって目標を達成しました。

はい。

実はですね、その頃、松岡センター長たちは既に、後継機である富岳の開発構想を練り始めていたそうなんです。

そうなんですねー。
そんな富岳はどういうコンセプトで開発されたんでしょうか?

あの事業仕分けを教訓にして、開発チームは利用者の視点に立って、計算速度よりも使い勝手を重視して、成果を出すことを目指しました。

なるほどー。

これ例えるなら訓練されたドライバーしか運転できないレーシングカーではなく、誰でも運転できて乗り心地がよくて燃費もよい高級セダンを狙った感じです。

はーい!(・0・。)

そして心臓部の中央演算処理装置(CPU)の基本設計には、イギリスのアームホールディングスの仕様を使いました。

はい。

これはですね、家電とかスマートフォン、ゲーム機など世界中の機器で最も多く使われている仕様なんですが、スパコンでの利用例はなくて、ある種の賭けだったそうなんです。

そこまでしても、誰でも使えるような汎用性の高さを狙ったわけですね。

そうなんです。京は、専用のプログラムを作らないと動かせず、不便だったそうなんですが

はい。

富岳では多くの人がパソコンで使っているソフトも、そのまま動かすことができます。例えば、プレゼンテーション用ソフト「パワーポイント」や、スマホのアプリなども使えるそうなんです。

はい。

その結果、レーシングカーの速さと高級セダンの快適さを兼ね備えた、とてつもないスパコンに仕上がったわけなんです。

はーい!(o≧∀≦o)

「2位じゃだめなんですか」というセリフが、圧倒的な1位を生み出したというわけなんですね。

へー! 開発側の意地を感じますけれども

そうですね

ちなみに、富岳の計算能力というのはどのぐらいなんでしょうか?

これもすごくてですね

はい。

富岳の計算速度は、1秒間に41.5京回。

ほー。

と言っても想像がつかないかもしれませんが、

ウフフフフフ(笑)

これ、京のおよそ40倍の能力があって
世界2位のアメリカのスパコン「サミット」の14.8京回に大差をつけての世界一なんです。

富岳は富士山の別名ですけれども

はい。

性能の高さだけでなく、富士の裾野のように幅広い利用を目指すという願いが込められているそうなんです。

はい。

そして世界一の登頂を達成した今は、目標は裾野を広げることに移っています。

はい。

たとえば、新しい医薬品を生み出したりとか、自動運転、人工知能(AI)、防災といった分野の研究のほかに

はい。

効率的なエネルギー配分の計算などに活用することが予定されています。

はい。高い性能を社会に役立てようとしているんですね。

そうです。最近だと、奥野恭史・京都大教授らが富岳を使って新型コロナウイルス感染症の治療薬を探しました。

はい。

2000種を超す既存の薬の中から、富岳が選んだ候補は数十種類。このうち寄生虫薬のニクロサミドやニタゾキサニドなど12種類は、海外で感染者に投与して研究が進んでいる薬だったんです。

はい。

奥野教授は「何のヒントも与えていないのに、富岳はわずか10日間で、海外で治験や臨床研究が進んでいる薬を見つけ出した」と驚きを隠せなかったそうなんです。

そうなんですねー。さまざまな分野で力を発揮しそうですよねー。

そうなんですよ。今後も、富岳の成果によって、私たちの暮らしが一変する日も、そう遠くないのかもしれません。

はい。

ちなみに最初のコンピューターが誕生したのは、20世紀の中頃。

はい。

これ、大砲の玉、砲弾の軌道を計算するためだったそうなんですが、

はい。

いまや急速に性能が上がって、小型化や省電力化も進んで、ディープラーニング(深層学習)やAIなど応用の範囲も広がりました。

とくにAIの進化っていうのは気になりますよね。

そうですね。アメリカの発明家のレイ・カーツワイルさんは、2005円、AIが人間の知的能力を上回る「シンギュラリティー(特異点)」が2045年にも到来すると予測をしました。

はい

しかし、当面は、コンピューターに計算を指示するのも、計算結果を利用するのも人間なので、AIの判断や行動についても、人間が責任を持つ必要がありそうです。

うーん。こういった技術が高まっていくにつれて、それを使う人間の力とうか、その責任というか、心の部分っていうんですかね。

うーん。

そういうのも、なんかより大切になりそうだなというふうに個人的には感じましたね。

人間も負けちゃいられないわけですよね。

はい。

鍛えておかないとね。そういう能力もね。

そうですねー。