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2021年03月30日放送

時差

欧州が「分裂」の危機?3つの「時差」やめ、自国の時間を決めて固定へ

読売新聞3月19日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

この門を開けばニュースの世界がくっきり見えてくる。ラジオ版NEW門ニュースの門。さて去年2月からスタートしました「ラジオ版NEW門」は、今回で最終回です。
最終回のテーマは「時差」です。NEW門今月19日掲載の『欧州が「分裂」の危機? 3つの「時差」やめ、自国の時間を決めて固定へ』についてピックアップしてお伝えしてます。

欧州が分裂の危機、とか穏やかじゃないですねー?

そうですよね。欧州ヨーロッパに、パッチワークのように複雑な時差の壁ができてしまうかもしれない。というお話なんです。

はい。

それは、欧州連合(EU)が足並みそろえて行ってきた「夏時間」と「冬時間」の調整を今月でやめて、加盟国がそれぞれ「夏時間」か「冬時間」か、自分の時間を決めて10月末から固定する方針が示されたからなんです。

へー。国と国の時差って、普通はなんとなくわかりやすく区切られていますよね?

そうですね。あの、東西の経度、あの地球儀の縦線になんとなーく近い感じで分かれてますよね?

ええ。はい。

現在のEUの時間帯も割とわかりやすく三つに分かれていて、27の加盟国が2時間の時差に収まっています。たとえばEUの東の端のフィンランドで正午なら、EU中央部のドイツやフランスなどは午前11時、西のポルトガルとアイルランドは午前10時になります。

やはり東西の国の位置で、時差が分かれているんですねえ。

はい。そしてヨーロッパの各国では、3月最後の日曜日に、時計を標準時から一斉に1時間進めて「夏時間」にして、さらに10月最後の日曜日には反対に1時間遅らせて、標準時に戻して「冬時間」としてきたんです。

はい。

夏時間、あのサマータイムは明るい、日の出ている時間を有効に使って省エネを進めようと、ヨーロッパでは1970年代に広がりました。

はい。

この理由は、ヨーロッパは緯度が比較的高いので、夏は日が長いためなんですね。

うーん。

1時間時計を進めて夏時間にすれば、日没の時刻が1時間遅くなりますよね。パリならば夏至の日没は午後10時近くて、遅くまで外が明るいので、照明用のエネルギーを減らせるわけなんです。

なるほど!日没がそんなに遅いなら時間をずらす夏時間の効果もありそうですよね?

はい。
で、反対に、ヨーロッパの冬は日が短くて日の出も遅いので、夏時間のままだと、パリは冬至の日の出の時刻、午前9時半過ぎと遅くなってしまうんです。

ほー。

なので、標準時に戻せば1時間早い時刻で明るくなるよ。という仕組みなんです。

その分電気をつける時間が短くなるということなんですね?

そうなります。ところがEUは今年3月28日に夏時間に移行するのを最後に、時間調整をやめる方針を示したんです。

はい。

そのため、10月31日以降は、「夏時間のままにしておく国」と、「標準時に戻す国」に分かれることになりそうなんです。

へー。

これ、仮の話ですよ? たとえばドイツとフランスの間に新たに時差ができたりとか、2つの国の一体感が損われるかもしれないですし、逆に隣りの国との時差が消えることもありそうです。

つまり、EUの中で、まるでパッチワークのように時差が生まれる可能性があるわけなんですよ。

へーこれは色々影響が出そうですねー。

そうですよね。お互いに接する国々が多いヨーロッパで時間帯が入り組んでしまうと、交通網とか物流を阻害する恐れもありますし、国と国との垣根を低くする欧州統合とは逆の動きとも言えそうです。

そもそもどうして時間の調整を辞める方針になったんでしょうか?

はい。これね、EUが時間調整をやめる理由にあげたのは「民意」でした。

はい。

EUが行った意見公募では、84%が時間調整の中止を求めるという結果が出たんです。

へー!

中止を求める理由には「健康への影響」を挙げる人が多くいました。

そうなんですね。

そうなんです。体のリズムは時計のように簡単に切り替えられないので、時間調整でストレスとか睡眠不足、体調不良を感じる人が少なくないと指摘した医学的研究も複数あるんです。

なるほど。確かに切り替えのタイミングで体のリズムを合わせるのは大変そうですよね?

大変そうですよね。確かに。
一方で、意見公募の結果には疑問も残っています。回答者がおよそ460万人でEU全加盟国の人口の1%にも満たないうえ、ドイツ1か国からの回答が70%を占めていて、ドイツの意向がかなり大きく反映されたとみられているんです。

はい。

さらにイギリスはEU離脱で、EUの方針に縛られなくなったので、時間調整を続ける方針なんです。そうなるとEU加盟国のアイルランドと、陸続きの英領北アイルランドとの間に時差ができる可能性もありますけれど、アイルランドは歴史的な背景も踏まえて今後もイギリス時間に合わせたい意向を示しています。

時間調整をやめるのも簡単ではなさそうですね。

はい。時間調整をやめても、今度は人々のストレスが高まるのかもしれないですし、今後のEUや各国の動向、注目したいところです。

はい。

ところで、「時間」というのは、暮らしや経済を支える客観的な物差しですけど、政治的に利用されることも少なくありません。

はい。

たとえばロシアの前身であるソ連。1991年に崩壊して、15の独立国ができたときは、それまでモスクワと同じ時間だったバルト3国とかウクライナの各政府は、時計の針を1時間遅らせました。
これは、わざわざ、わざと時差を作って、ソ連の支配が終わったよということを人々に体で実感させるためだったそうです。

へー。

また中国は、あの広―い、広大な領土の全域に一つの標準時を適用していまして、「中華民族」の一体性を重視する体制が、時間をも支配しているようなんですよ。

そうなんですかー。

国の体制とか地域の支配構造が変わることで、私たちの生活に欠かせない時間のルールがいろんな思惑で見直されることもあるわけですね。

なんか不思議な話ですよね。
時間ってみんな平等に与えられているものっていう感覚がありますが、特別なものだからこそ、いろんな意味で大切にする必要がありそうですよね。

ときには政治的に利用されるということもあるということですけれどもね。

ね、初めて知りました。

いままでラジオ版NEW門にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ありがとうございました

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