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2020年05月12日放送

明治の大検疫

コレラ阻止 後藤新平の決断

読売新聞 4月16日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「明治の大検疫」に関する内容です。NEW門先月16日掲載の「コレラ阻止 後藤新平の決断」についてピックアップしてお伝えしていきます。

検疫って、あの国外から菌やウイルスなどが入ってくるのを防ぐものですよね?

そうです。検疫は、日本国内への病原体の侵入を防ぐために、人とか動物、食品などを検査することです。国の検疫所業務年報によりますと、全国の空港や港の、あわせて110か所の検疫所で、医師や看護師の資格を持つ検疫官が、およそ600人体制で検疫をしています。

はい

おととしは船舶およそ5万隻、航空機およそ29万機を対象に、およそ6000万人を検査してるんですが、

うーん。(*・ω・)

海外から日本への観光客の増加などで、検疫の対象者というは10年間でおよそ2倍に増えているんです。

そうなんですねー。
今は世界各国でこの新型コロナウイルスが感染・拡大していて、検疫の重要性っていうのは高いですよね?

そうですね。そんな検疫がかつてなく注目されています。
日本ではクルーズ船を洋上に止めて大規模な検疫が行われましたけれども、

はーい。

今回のテーマは「明治の大検疫」ということで、この光景を見て、あの人ならどうしただろう。と連想した人もいるかもしれません。

うーん。
あの人というのは、つまり、今回のタイトルの後藤新平が、明治時代に大規模な検疫をしたってことですか?

そうなんです。日本で検疫が始まったのは、明治に入った後の1879年です。感染症のコレラが国内で蔓延した反省を受けて、明治政府は横須賀や長崎などに検疫所を設けました。

はい。

14世紀から検疫が行われていたヨーロッパに比べると、鎖国の影響もあって大きく出遅れた日本ですけれども

ええ。

ほどなくして、検疫で世界から大きく注目される出来事があったんです。

はい(。 ・O・)

それは、日清戦争の帰還兵23万人の大規模な検疫を、わずか3か月でやってのけたことで、これを指揮したのが、当時外務省衛生局の官僚だった後藤新平なんです。

へー。
後藤新平って、医学に詳しかったんですか?

そうなんです。
岩手に生まれ、福島の須賀川医学校を卒業して、医師、官僚、政治家の肩書を持った人なんです。

へー。

学者らでつくる、「後藤新平の会」の藤原良雄事務局長は「後藤が断行した検疫は、壮大かつ周到だった」と述べているんです。

世界が注目した大検疫ってどんなものだったんですかね。

はい。日新戦争の戦地・中国では、当時コレラが流行していたんですけれども

はい

後藤新平は、兵士たちの帰還が決まると、大阪、広島、山口の、「島」に臨時の検疫所を急いで作りました。

はい。

そして、船で次々と返ってくる兵士の健康状態をチェックして、コレラ感染の疑いがなければ入浴をさせて、すべての持ち物を薬品や蒸気で消毒して上陸をさせたそうです。

検疫を島で行ったんですね。

そうなんです。

感染の疑いがあった兵士っていうのはどうしたんですか?

感染の疑いがある兵士や、その近くにいた兵士たちは、病室や船内に隔離をしました。

はい。

日清戦争は日本が勝ったので、帰還兵っていうのは凱旋兵ですよ。

うーん。(。-`ω´-)

つまりは、英雄的にお祝いムードで迎らえる存在なだけに

はい。

彼らを消毒とか隔離するのっていうのは反発が大きかったとみられていますが、

なるほどー。

後藤はいかに検疫が大切かを説く文書を25万枚印刷しまして、一人一人に配って理解を求めたそうです。

そうなんですね。
兵士たちのプライドにも気を配りつつ、検疫を実行したってことなんですね。

そのようなんです。

検疫は3か月で期間兵23万人に実施されて、この間に4万人以上を船などに留め置いて、

うーん。

およそ700人の感染者を見つけたそうです。

はい。

この後藤の手腕というのが、「ドイツ皇帝が『感服した』と述べた」という話も残っているぐらいなんですね。

へー。大活躍ですね。

そうです。
感染の疑いがある人とない人を分けて、隔離や治療を徹底するという手法というのは、その後も踏襲されて、

はい

まさに今回のクルーズ船でも、水際で封じ込める発想と手法というのは引き継がれているんです。

うーん。

では、後藤新平がもし現代にいたら、今回の新型コロナウイルスによる難局も乗り切れたでしょうか。

ほー。

元仙台検疫所長の岩崎恵美子さんは「それはどうでしょうか」と慎重に答えています。

そうなんですね。その理由がちょっと気になりますね。

岩崎さんは「新型コロナウイルスは当時のコレラとは異なり、特性がはっきりしない『未知のウイルス』。無症状の感染者もいるなど分からない点が多く、対応は難しい」とみています。

はい

それに加えて、今はですよ、飛行機とか船で簡単に国境を超えられますから、
人々の往来が盛んになっていて、ウイルスの侵入の危険性は高まっています。

ウイルス自体にまだわからない点が多いうえに、移動手段が発達した現代だと、
対応がより難しいということになるわけですね。

そうなるわけですねー。
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、乗船者を足止めして検疫を続けた結果、船の中で感染が広がったとみられ、乗っていた約3700人のうち、700人以上が感染してしまったわけです。

はい。( ̄ω ̄;)

医学史に詳しい沖縄国際大の市川智生淳教授は「日本にウイルスを拡散させないためには、船内での足止めは必要だった」とみていますが、

はい

「船」という閉鎖空間での検疫の難しさというのも浮かび上がりました。

改めて、その検疫の難しさっていうのを感じますよね。

うーん。グローバル社会の今、検疫は一筋縄ではいかないわけなんですね。

はーい。

市川准教授は「今回の事態を教訓に、不断の見直しを進めることが大切だ」と話しています。

うーん。

ちなみに後藤新平は「検疫という事業は一つの戦争」

はい

「その危険の恐るべきこと弾丸より大なるものがある」と語ったそうなんですけど、

はい

医学や科学が発達した今も、ウイルスの侵入を防ぐ検疫という闘い。今も続いています。

うーん。なんか「絶対この方法が正解」っていうのがもうわからないところもあるじゃないですか。

はい。

なので、常に見直していくっていうのが大切になるんでしょうね。

そうですね。常に戦い続けていくということが求められるのかもしれません。

はい。

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