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2021年02月16日放送

働きバエ

ミツバチ不足を救う?「働く銀蠅」をよろしく

読売新聞1月13日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

この門を開けばニュースの世界がくっきり見えてくる。ラジオ版NEW門ニュースの門です。今回のテーマは「働きバエ」です。NEW門先月13日掲載『ミツバチ不足を救う?「働く銀蠅」をよろしく』についてピックアップしてお伝えします。

働きバエ?
ということで、「働きバチ」みたいなものですけれども、ハエなんですね?

そうなんです。これ、果物農園で、イチゴやマンゴーの花から花へ、せっせと飛び回っている小さな虫。
といえば、ミツバチの授粉のイメージがありますけれども、ミツバチ不足を補う新たな選択肢として、ハエを利用する農家が増えているんです。

へー!

清潔で人の役に立つ「働きバエ」が、嫌われ者のイメージを覆すかもしれないというお話です。

なるほど。これはちょっと気になりますねー!

気になるでしょ?実際に授粉用のハエを育てている岡山大学発のベンチャー企業「ジャパンマゴットカンパニー」では、郊外の倉庫にずらりと、中の温度を25度に保った大型サイズの培養器を並べて、緑色の金属っぽい光沢を放つ「ヒロズキンバエ」、いわゆる銀蠅(ぎんばえ)を育てています。

ま、でも、ハエってなんとなくですけれども、不潔なイメージがありますよね?

そうですね。ハエに不潔なイメージがあるのは、動物の死骸とかフンをエサにしていて、病原体の「運び屋」になってしまうためです。
でも、そもそもクリーンな環境で育てれば問題はないそうなんです。

そうなんですねー。

この会社では、食肉やドッグフード、砂糖水などを与えて、衛生的に飼育した「ビーフライ」を、1000匹入り税別2000円で販売しているんですが

はい。

「ミツバチ(bee)のように働くハエ(fly)」が名前の由来になっています。

へー。

佐藤卓也社長(59)は「清潔さが売り。2010年の出荷開始から10年で、取引農家は700戸まで増えた」と説明しています。

そうなんですねー!
そんな働きバエを、実際に活用する農家も増えてきているということですよね?

はい。これ、じつは農家がハエを利用する背景には、授粉用ミツバチ(セイヨウミツバチ)の供給不足があるようなんです。

岐阜県の大手のミツバチ供給会社「アピ」によりますと、ミツバチの用途には「授粉」と「採蜜」(蜜を取る用途)の二つがありますけれど、

はい。

国産蜂蜜の人気が近年高まっていまして、採蜜用の需要が増加していることを受けて、授粉用のミツバチの供給割合が減っているそうなんです。

はーい。

また、ダニによる病気や、一部の農薬の影響とみられるミツバチの大量死も世界的に問題になっています。
「アピ」ミツバチ課の課長代理の中野剛(たけし)さんは「ハエが普及すれば、ミツバチ不足が緩和され、園芸農家の助けになる」と期待しています。

はい。ミツバチ不足対策でも利用が進んでいるわけなんですね?

そのようなんですね。

ところで、ミツバチと比べて、この働きバエたちの仕事ぶりはどうなんでしょうか?

はい。ずばり、短所と長所があります。
たとえば、ハエには帰巣本能がなくて、外に出ると戻ってこないので、屋外での露地栽培には向いていなくて、ビニールハウス専用になります。

なるほど。

またメロンやスイカ、トマトなどの花の蜜は吸わないので、授粉に使えません。

はい。

こうした短所はあるんですが、逆にミツバチに勝るとも劣らない点もあるんです。

これ、働きバエの長所というのはどんなところなんですか?

はい。まずですね、ミツバチは寒さに弱い上、紫外線で花の蜜や花粉を見分けるので、曇りとか雨の日は、ミツバチ、巣箱からあまり出ないという弱点があるんですが、

はい。

ハエは寒さに強くて、天候にも左右されません。
もちろん、人を刺すこともありません。

たしかにそうですね。

さらに、ミツバチに比べると体が小さいので、花のめしべを傷つけにくくて、形の悪い実を減らしてくれるのも長所の一つです。

へー。

このほか、花の蜜や、傷んだ実を狙って、健康な実には近寄らないことも授粉に適しているそうです。

そう聞くと、ハエの長所、いっぱいありますね。

そうなんです。こうした特性もあって、ビーフライは今後、建物の中野の植物工場とか品種改良用の小規模施設などでも普及が見込まれるそうなんです。

はい。

そしてハエは嫌われ者ですけれど、生態系になくてはならない「分解者」、つまり自然界の掃除屋でもあるわけですが

はい。

そんな特徴を生かして、実は医療分野にもハエが進出して活躍しているんです。

へー。医療分野でもハエが活躍しているということで、どんな働きをしているんでしょうか?

はいこれね、ハエの幼虫は、病気やけがで壊死(えし)をした組織だけを見分けて食べるので、この性質を生かして、糖尿病で壊死してしまった足の組織を取り除く「マゴットセラピー」と呼ばれる治療に用いられているんです。

はーい。

人の手だと、患部だけをきれいに取り除くのは難しいんですけれど、ハエの幼虫を使えば、治りが早くて、足の切断を防げるケースもあるそうなんです。

へーそうなんですねー。ハエ大活躍ですねー!

すごいんですよ。とはいっても、やっぱり虫嫌いの人というのも少なくありません。人気のあるカブトムシとかチョウならまだしも、ハエはなおさらのようで、大阪市立大学の後藤慎介教授(昆虫生理学)は「農家は虫に慣れており、きちんと説明すれば理解してもらえる」と話していますが、授粉用のハエを育てているジャパンマゴットカンパニーには、取引農家から「うちの名前は口外しないで」という声も寄せられるそうなんです。

なるほど。やっぱりハエのイメージを変えるにはちょっと時間がかかるかもしれないですねー。

かもしれないですね。ハエの働きぶりが正当に評価されるのはいつの日になるのかということですが、ちなみに昆虫を養殖したり、品種改良したりして、いろんな用途に利用する歴史というのは長くて、

ええ。

例えば、群馬でのおなじみのカイコの飼育は5000年前の中国で始まったそうです。

はい。

また、口紅とか食品着色料などに使われる赤い天然色素「コチニール」は、葉っぱとか茎にへばりつく「カイガラムシ」が原料になっています。

へー。

昆虫を食べたりとか活用したりという人と虫の付き合いには、長い歴史があるんですね。

そうですね。自分のほんとに知らないところでも、昆虫・虫たちの助けをもらっているわけですね。

そうですよ。人と虫が共生しているということですね。

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